IGアリーナ開業で10,281人
名古屋ダイヤモンドドルフィンズとBリーグ最大アリーナの全貌
2025-26シーズン、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは平均10,281人を動員しB1全体トップに立った。前年(ドルフィンズアリーナ時代:5,353人)の約2倍。その原動力は、同年7月に開業した愛知国際アリーナ、通称IGアリーナだ。総事業費約400億円・収容15,000席のBリーグ最大アリーナは、クラブの集客力をどう変えたのか。
愛知国際アリーナとは
隈研吾が手がけた「樹形アーチ」
外観デザインを手がけたのは建築家・隈研吾。名城公園という緑地に隣接する立地を活かし、樹木の枝を模した木質アーチを外周に配したデザインが特徴だ。ハイブリッドオーバル型の構造により、スポーツ観戦時のオーバル配置とコンサート時の馬蹄形配置を両立する。
SPCの株式会社愛知国際アリーナには、前田建設工業・NTTドコモ・米大型興行運営会社のAnschutz Sports Holdings・三井住友ファイナンス&リース・東急・中部日本放送・日本政策投資銀行などが参加。米国の大型アリーナ運営ノウハウを持つAEGグループが関与しているのが国内他施設との大きな差だ。
「IGアリーナ」— 英国金融グループが選んだ理由
命名権を取得したのはIG証券、英国本社のIGグループ(ロンドン証券取引所上場)の日本法人だ。CFD・FX・株式取引を提供するオンライン証券で、2024年2月に10年契約を発表。契約金額は非公表だが、愛知国際アリーナ社長が「日本最大、アジア最大級」と明言した超高額案件とされる。
金融業界が大型アリーナの命名権を取得する例はNBAでも一般的(American Airlines Arena、Crypto.com Arenaなど)だが、日本では異例の規模感だ。日本・アジア市場でのブランド認知向上を狙うIGグループの戦略と、愛知県・名古屋市の集客力への期待が一致した。
ドルフィンズアリーナからの卒業
名古屋DDの前身は1950年創部の三菱電機名古屋製作所バスケ部。「メルコドルフィンズ」「三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ」を経て2016年Bリーグ開幕時に現名称に。本拠地の収容人数は7年間で約3倍になった。
平均10,281人(稼働率約68%)の意味
収容15,000席に対して平均10,281人は稼働率約68%。日本のバスケ会場としては異次元の数字だが、NBA平均(約9割前後)と比べると「まだ伸びしろがある」とも言える。クラブは「満員プロジェクト」を掲げシーズンチケット販売を強化。CSプレーオフ出場決定戦では12,000人超を動員した。
座席構成は、スイートルーム40室(個室)・プレミアムラウンジBOX・2〜4階スタンドを含むVIPシート群が充実。プレミアムシートの単価は通常席の数倍に及び、チケット収入の構造がドルフィンズアリーナ時代から大きく変わった。収容が3倍になれば単純にチケット収入も3倍にはならないが、高価格帯の座席比率が上がることで収益効率は大幅に改善する。
Bプレミア時代の名古屋DD
Bプレミア参入基準(4,000人・12億円・5,000席)を余裕でクリアした名古屋DDは、2026-27シーズンから15,000席の本拠地を持つ「大型興行クラブ」として新リーグに参入する。課題は稼働率の向上だ。B.LEAGUE最大キャパで平均10,281人はトップだが、IGアリーナを満席近くで運営できれば収益構造は桁違いに変わる。アリーナが「動員上限」から「動員目標」になった今、名古屋DDが示すのはBリーグの新しい経営モデルだ。
本記事のデータは 2024-25シーズン決算 に基づきます(執筆時点の最新公開データ)。 急成長クラブが多いBリーグでは1シーズン分の変化が大きい場合があります。
出典:B.LEAGUE マーケティングレポート 2025-26シーズン(2026-05-21)、愛知国際アリーナ公式、日経・Business Insider Japan各報道