B2が増やした21億円のうち、選手に回ったのは1億円だった
Bプレミアの基準が、B2クラブの金の使い道を変えた
- 01B2の営業収入は126.0億円から147.3億円へ21.6億円増えた。選手の人件費に回ったのは1.2億円(5.6%)だけ
- 02同じ季のB1は、増収168.1億円のうち59.7億円(35.5%)を人件費に回している。B2とは桁が違う
- 03B2が増やした分の46.8%は試合関連経費へ。費用に占める割合は2021-22の14.6%から22.3%になり、B1の18.5%を追い越した
- 04人件費の割合は逆に38.1%から31.3%へ下がった。B2は選手より興行に払うようになった
- 05売上12億円を超えたのは14クラブ中6。しかし平均4,000名に届いたのは信州ブレイブウォリアーズだけだった
- 06⚠️ それでもB2全体は営業損失2.1億円、赤字6クラブ。使い道を変えても、まだ黒字にはなっていない
プロのクラブが稼いだら、普通は選手に使う。強くなって、また稼ぐためだ。 B2は、そうしなかった。
2025-26のB2 14クラブは、営業収入を21.6億円増やした。 そのうち選手の人件費に回ったのは1.2億円。 増えた分の5.6%しかない。
増えた21.6億円が、どこへ行ったか
増収がどこへ流れたかを、B1と並べて見る。B1は増えた168.1億円のうち35.5%を人件費に回した。 B2は5.6%。代わりにB2が厚くしたのは試合関連経費で、10.1億円(46.8%)が向かった。
図1前季から増えた営業収入の、使い道の内訳(億円)
帯の長さが増収に占める割合。B1は人件費(濃い黄土色)が太く、 B2は試合関連経費(藍)が太いことを見てほしい。
- 区分は決算の季のもの。B1は24→26クラブに増えているので、増収にはクラブ数が増えた分が入る
- B2のクラブ数は14で変わっていない。B2の数字はクラブ数の影響を受けない
- 試合関連経費は、会場費・設営・演出・運営スタッフなど、試合を開くための費用
B2のクラブ数は4季変わっていない。顔ぶれが同じまま、金の向きだけが変わった。
2021-22を境に、人件費と興行費が入れ替わった
1季だけの話ではない。費用に占める割合を10季分並べると、B2の人件費は2022-23の39.6%を頂点に31.3%まで下がり、試合関連経費は14.6%から22.3%まで上がった。
図2営業費用に占める人件費と試合関連経費の割合(B1・B2、%)
濃い2本がB2、薄い2本がB1。 B2の試合関連経費(藍)が最後に跳ね上がり、B1を追い越したところを見てほしい。
- 区分は決算の季のもの。B2のクラブ数は18から14に減っている
- スクールやアリーナを別法人で運営しているクラブは、その分の費用が入らない
- 割合であって額ではない。B2の人件費の額は4季で23.1億円増えている
B1(薄い2本)は、ここまで動いていない。人件費は38.1%、 試合関連経費は18.5%で、順番も変わっていない。金の向きを変えたのはB2のほうだった。
昇格の条件が、強さから事業規模に変わった
なぜB2だけが変えたのか。ここからは見立てになるが、上に行く条件が変わったことと、時期が合っている。
かつてB1に上がる道は、B2で勝つことだった。 2026-27から始まるB.PREMIERは、そうではない。継続は「4,000名かつ9億円」または「3,000名かつ12億円」、 新規は4,000名と12億円を2期連続で満たす必要がある。 勝敗は条件に入っていない。
この基準の下では、選手に払っても上がれない。 席を売り、客単価を上げ、売上を積むほうが条件に近づく。 B2の試合関連経費が跳ねたのが2016-17からで、 審査の対象になる季と重なっている。合理的な反応だった、と読める。
神戸と福岡は、同じだけ伸びて逆の使い方をした
平均の話は、クラブごとに開くと見え方が変わる。 4季前と並べると、同じくらい売上を伸ばした2クラブが、 正反対の使い方をしていた。
図3B2 14クラブの営業収入と、費用に占める人件費の割合(2021-22 → 2025-26)
棒は2025-26の営業収入。右の2つの数字が人件費の割合で、 4季前 → 今季。下がったクラブが多いなかで、上げたクラブもある。
- 2021-22にB2にいなかったクラブは、4季前の値が出ない(福井・静岡・横浜EX・鹿児島・岩手)
- 決算期がシーズンと一致しないクラブがある(静岡・山形)
神戸は営業収入を4.7億円から20.9億円へ4.4倍にした。 そのあいだに人件費の割合を48.9%から21.2%へ下げ、 試合関連経費を0.4億円から6.7億円へ17倍にした。いまは試合関連経費(6.7億円)が人件費(5.1億円)を上回っている。
福岡は逆だった。営業収入は5億円から17.7億円へ3.5倍と、神戸とほぼ同じ速さで伸びている。 それでも人件費の割合は37.5%から41.6%へ上げた。額では1.8億円から7.4億円で、神戸の5.1億円を超える。 同じB2で、同じだけ稼いで、置き場所が違う。
売上は6クラブが超えた。席は1クラブだけ
では、使い道を変えた効果は出たのか。売上では出た。14クラブのうち6クラブが12億円を超えている。4季前に12億円を超えていたB2クラブは無い。
席のほうは違った。平均入場者数が4,000名に届いたのは信州ブレイブウォリアーズだけ。売上で1位の神戸は2,937名、 2位の福岡は2,205名で、どちらも3,000名に届いていない。
⚠️ ここは慎重に読む必要がある。入場者数は2024-25の値で、売上は2025-26の決算だ。1季ずれている。今季の入場者数が出れば、距離は縮んでいるかもしれない。 ただし1季で3割以上伸ばす必要があるクラブもあり、 数字の上では遠い。
そしてもう1つ。B2全体はまだ営業損失2.1億円、 赤字が6クラブある。同じ季のB1は営業利益11億円だった。 使い道を変えて売上は作れたが、黒字にはなっていない。
確かめられていないこと
- ⚠️ 「基準が変わったから使い道を変えた」は見立てで、因果を確かめたものではない。時期が合っている、以上のことは言えない
- 試合関連経費には会場費が含まれる。新しいアリーナに移れば、演出に使わなくても増える。中身の内訳はリーグの様式では分からない
- 入場者数は2024-25、売上は2025-26で1季ずれている。同じ季で並べた表ではない
- B2のクラブ数は10季で18から14に減っている。合計の比較には、顔ぶれが変わった分が入る
- 決算期がシーズンと一致しないクラブがある(A東京・東京SR・川崎・三河・FE名古屋・名古屋D・大阪・島根・長崎)。人件費と戦績の期間は厳密には揃っていない
- 人件費はトップチームぶんのみ。スクールやアリーナを別法人で運営しているクラブは、その分が入らない
- 物販収入と原価は、クラブごとに販売方法と会計処理が違うため単純比較できない(リーグの注記)
- 「その他」にはアリーナ事業などの収入が入る。リーグはこれを「夢のアリーナ効果による増加」として、伸びた要因に数えている
- 表示項目はリーグの統一様式で、クラブの決算書の勘定科目とは異なることがある。端数調整で合計が一致しない箇所がある(リーグの注記)
次に見るなら、どこか
B2の試合を見に行く機会があれば、コートの上ではなく、会場の作りを見てほしい。照明、音、席種、物販の列。そこに金が向かっているのが、この10年の決算の姿だ。
出典:B.LEAGUE クラブ決算概要(2016-17〜2025-26シーズンの各季)/同 発表資料(2025-26シーズン)/B.LEAGUE ライセンス交付の発表(平均入場者数)。