人件費で説明できるのは、勝率の半分だった
2025-26決算とB1の戦績。1億円がおよそ2勝にあたる
- 01B1 26クラブで、人件費と勝率の相関は0.718。人件費が1億円多いと勝率はおよそ3.3ポイント、60試合で約2勝分高い
- 02ただし決定係数は0.515。勝率のばらつきのうち人件費で説明がつくのは半分で、残り半分は別のところで決まっている
- 03人件費から期待される勝率をいちばん上回ったのは長崎ヴェルカ。12.7億円で47勝13敗、期待を19.4ポイント上回った
- 04⚠️ 決算期がシーズンと一致しないクラブが9ある。長崎は12月決算で、人件費の期間は半分ずれている
お金をかけたクラブが勝つ。そう言われるし、半分は当たりだ。 2025-26シーズンの決算が出たので、B1 26クラブのトップチーム人件費と、同じ季の勝率を並べてみた。人件費が1億円多いクラブは、60試合でおよそ2勝多い。
ただ、そこで終わると半分しか見ていないことになる。 人件費で説明がつくのは勝率のばらつきの51.5%で、 残りは人件費の外にある。その残り半分を作ったクラブが、どこなのか。
1億円で約2勝。つながりは、たしかにある
図1トップチーム人件費とリーグ戦の勝率(B1 26クラブ、2025-26)
横がトップチーム人件費、縦がB1リーグ戦の勝率。 破線が回帰直線で、点が線の上にあるほど人件費のわりに勝っている。 点の色は、その上下を表している。
- 破線は最小二乗法による回帰直線。相関係数 0.718、決定係数 0.515
- スクールやアリーナを別法人で運営しているクラブは、その分の人件費が入らない
- 決算期がシーズンと一致しないクラブがある(長崎ヴェルカ・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ・シーホース三河・島根スサノオマジック・大阪エヴェッサ・ファイティングイーグルス名古屋・川崎ブレイブサンダース・アルバルク東京・東京サンロッカーズ)。人件費と勝率の期間は厳密には揃っていない
相関は 0.718。人件費が1億円増えると、勝率がおよそ3.3ポイント上がる計算になる。 60試合に直すと約2勝。点の並びを見ても、右上がりなのは分かる。
人件費と営業収入の相関は 0.827 で、もっと強い。 稼いだクラブが払い、払ったクラブが勝つ。ここまでは、おおむね想像どおりだ。
説明できるのは51.5%。残りは人件費の外にある
ただ、0.718という相関を二乗すると 0.515 になる。勝率のばらつきのうち、人件費で説明がつくのは51.5%だけだ。 残りの48.5%は、別のところで決まる。
これは「お金は関係ない」という話ではない。半分は効いている。 言いたいのは逆で、半分は、お金以外で動かせるということだ。 そこを見るために、人件費から期待される勝率と、実際の勝率の差を取った。
残り半分を作ったのは、長崎ヴェルカの+19.4ポイント
図2人件費で説明できない勝率の差(残差、ポイント・B1 26クラブ)
人件費から期待される勝率を基準に、実際の勝率がどれだけ上だったか。 中央の縦線が「人件費どおり」。右に出ているほど、お金で説明できない勝ちを足している。
- 棒の長さは、いちばん大きい残差を基準にそろえてある
- 人件費が大きいクラブほど期待値も高いので、勝っていても残差が負に出ることがある。これは強さの順位ではない
いちばん上は長崎ヴェルカだった。人件費12.7億円で47勝13敗。 同じ人件費のクラブから期待される勝率は 58.9% で、実際は 78.3% だった。 差は+19.4ポイントになる。
続くのは名古屋ダイヤモンドドルフィンズ・シーホース三河・レバンガ北海道・仙台89ERS。 いずれも人件費はリーグの真ん中あたりで、勝率が上に出た。この5クラブが、お金では説明できない側を作った。
下の側にも触れておく。アルバルク東京は人件費20.6億円でリーグ最大だが、 勝率は 68.3%(41勝19敗)で、期待から-16.7ポイントだった。 人件費が大きいほど期待値も高くなるので、勝っていても差が負に出る。 この表が見ているのは「強さ」ではなく「人件費との釣り合い」だ。
期間が揃っていないクラブがある
この比較には、はっきりした弱点がある。決算の期間とシーズンが一致しないクラブが9あることだ。 リーグの注記にあるとおりだ。
B1で該当するクラブ:長崎ヴェルカ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、シーホース三河、島根スサノオマジック、大阪エヴェッサ、ファイティングイーグルス名古屋、川崎ブレイブサンダース、アルバルク東京、東京サンロッカーズ
たとえば長崎ヴェルカは12月決算なので、12.7億円は2025年1月から12月までの数字になる。 2025-26シーズンとは半分ずれる。差が大きく出た理由の一部は、ここにあるかもしれない。
- 決算期がシーズンと一致しないクラブがある(A東京・東京SR・川崎・三河・FE名古屋・名古屋D・大阪・島根・長崎)。人件費と戦績の期間は厳密には揃っていない
- 人件費はトップチームぶんのみ。スクールやアリーナを別法人で運営しているクラブは、その分が入らない
- 物販収入と原価は、クラブごとに販売方法と会計処理が違うため単純比較できない(リーグの注記)
- 「その他」にはアリーナ事業などの収入が入る。リーグはこれを「夢のアリーナ効果による増加」として、伸びた要因に数えている
- 表示項目はリーグの統一様式で、クラブの決算書の勘定科目とは異なることがある。端数調整で合計が一致しない箇所がある(リーグの注記)
- 勝率はB1リーグ戦60試合分で、ポストシーズンを含めていない
- 26クラブは標本として小さい。1クラブ動くと直線の傾きも動く
筆者の見立て — 残り半分の多くは、編成の精度ではないか
ここから先は数字ではなく見立てになる。 残りの48.5%を作っているのは、同じ金額で誰を取るかの差ではないかと考えている。 人件費は「いくら払ったか」であって、「誰に払ったか」ではない。
上位に並んだクラブは、どれも派手な積み増しをしていない。 それでも勝ち切った。ここは、お金の話ではなく、選ぶ側の話だと思う。
次の試合で、どこを見るか
クラブのページには人件費と営業収入を載せてある。 応援しているクラブが、リーグのどのあたりの人件費で戦っているのかを一度見てほしい。そのうえで勝っているなら、それは編成が効いているということだ。
この記事が外れていたら、翌季に分かる。 人件費を増やしたクラブが勝率を上げ、差の表の順番が入れ替わるなら、効いているのはお金のほうだった。 順番が変わらないなら、残り半分は別のところにある。 数字は 財務データ と 順位表 にある。
出典:B.LEAGUE クラブ決算概要(2025-26シーズン)PDF/勝敗は B.LEAGUE 公式の試合記録から集計。