どのクラブも伸びた。それでも差は開いた
10年の成長とクラブ間の開き。リーグは5.6倍、クラブは1.8倍から15.8倍
- 01B1+B2の営業収入は2016-17の149.7億円から2025-26の841.2億円へ、5.62倍になった
- 022019-20と2020-21はほとんど動いていない。そこを抜けてからの5季で223.9億円から841.2億円まで来た
- 03両端の季に決算がある30クラブで見ると、伸びは1.75倍から15.78倍。同じ制度の下で9.0倍の開きがある
- 04先頭は群馬クレインサンダーズの15.78倍(1.8億円→28.4億円)。2023-24までは41クラブ全部が33億円の下にいた
- 0510年で収入の構成比はほとんど動いていない。入場料22.4%→21.2%、スポンサー52.5%→47.7%。4つの柱が同じ速さで太くなった
- 06唯一シェアを伸ばしたのは物販(4.1%→7.6%)。入場者単価は1,816円→4,467円の2.5倍、平均入場者数も1,985名→4,379名
- 071クラブあたりのトップチーム人件費は1.36億円→7.67億円の5.6倍。ただし費用に占める割合は2021-22の41.8%を頂点に36.8%まで下がり、試合関連経費が戻している
リーグ全体が大きくなった、という話はよく聞く。2016-17の149.7億円から2025-26の841.2億円へ、 B1+B2の営業収入は5.62倍になった。
ただ、全部のクラブが同じように伸びたわけではない。2016-17と2025-26の両方に決算がある36クラブで見ると、伸びは1.75倍から15.78倍まで開いた。 いちばん伸びたクラブと、いちばん伸びなかったクラブで9.0倍の差がある。
リーグは5.62倍。コロナの2季は横ばいだった
図1リーグ全体の営業収入の推移(B1+B2合計、億円)
2016-17から2025-26まで。折れ線の傾きが、そのまま伸びの速さになる。
- B1のクラブ数は18から26に増えている。合計の5.61倍にはこの増加分が入る。1クラブあたりの平均では6.4億円から26.7億円で4.17倍
- 決算期がシーズンと一致しないクラブがある(A東京・東京SR・川崎・三河・FE名古屋・名古屋D・大阪・島根・長崎)
線は一本調子ではない。2019-20と2020-21は、ほとんど動いていない。 そこを抜けてからの5季で、224億円から841.2億円まで来た。
同じリーグにいて、9.0倍の差がついた
図2クラブ別の営業収入の推移(41クラブ、億円)
色を付けたのは、2025-26の営業収入が大きい5クラブと、 そこに入らない伸び率の上位(群馬・神戸)。 灰色も同じ41クラブで、束としての形を見るためのもの。 どの線もマウスを乗せるとクラブ名と金額が出る。
- 4季以上の決算があるクラブを全部描いている。縦軸の上限はアルバルク東京の92.4億円で決まる
- 参入の季が違うので、点のある季だけを繋いでいる。線の長さの違いは、そのままクラブの歴史の長さ
- 線の色は各クラブのクラブカラー(B.LEAGUE公式のクラブページより)。背景に対して読めるよう明度だけ下げ、色相はそのままにしている
図3開幕季からの営業収入の伸び(2025-26 ÷ 2016-17、倍)
両端の季に決算がある36クラブ。棒の長さは先頭を基準にそろえてある。 右端は、開幕季と今季の実額。
- 両端の季の両方に決算があるクラブだけが対象。途中から加わったクラブは出てこない
- 「その他」にはアリーナ事業などの収入が入る。リーグはこれを伸びた要因に数えているので、ここでも差し引いていない
- 棒の色は各クラブのクラブカラー(B.LEAGUE公式のクラブページより)
先頭は群馬クレインサンダーズで、1.8億円から28.4億円の15.78倍。 いちばん下はバンビシャス奈良の1.75倍だった。 どちらも10季ずっとリーグにいて、同じ制度の下で戦っている。
開いたのは差であって、負けた側ではない。1.75倍も、ほかの業界なら十分な成長だ。 それでも並べると9.0倍の開きになる、というのがこの10季の姿になる。
伸び方は2つある。最後の2季で跳ねたか、10季かけて上がったか
41クラブを同じ縦軸で並べると、線の形が2つに割れる。最後の2季で急に立ち上がった線と、10季をかけてまっすぐ上がってきた線だ。 前者はアリーナが新しくなった季と重なっていることが多い。
線の高さが規模、傾きが伸び、長さは決算が載っている季の数になる。
図4クラブごとの営業収入の推移(41クラブ、億円・今季の所属別)
縦軸は全セル共通。65億円から上は縮めてあり、波線がその切れ目。セル同士の高さを比べられる。 伸びの大きい順に並べてある。
- 4季以上の決算があるクラブだけを出している。今季が初年度に近いクラブは入らない
- 縦軸は全セル共通。アルバルク東京の92.4億円だけが飛び抜けているので、65億円から上は縮めて波線で示した。図2と同じ目盛り
- リーグの区分は今季(2026-27)のもの。決算の季の所属とは違う
- 縦軸は全セル共通。セルごとに伸ばすと、どれも同じ形に見えて規模の差が消える
ところが、構成はほとんど動いていない
ここまでは「どれだけ伸びたか」の話だった。 次は「何が伸ばしたか」に移る。そして、ここで予想が外れる。伸びた理由を1つに決めたくなるが、10年かけて収入の構成はほとんど動いていない。 リーグ全体を100%として積み直すと、入場料は22.4%から21.2%、 スポンサーは52.5%から47.7%。 4つの柱が、だいたい同じ速さで太くなった。
図5営業収入の構成比の推移(B1+B2、%)
帯の厚みが構成比。全部が同じ速さで伸びていれば、この図は真っ平らになる。 ほぼ平らだということ自体が、この記事でいちばん言いたいことだ。
- 区分は決算の季のもの。B3(いまのB.NEXT)は2024年度からしか載らないので、全季を比べるため外してある
- リーグの発表資料の構成比と一致する(2016-17は22.4/52.2/4.2/21.2、2025-26は21.2/47.7/7.6/23.5)
動いたところもある。物販が4.1%から7.6%へ、 ほぼ倍になった。逆にスポンサーは4.8ポイント下がった。 額は4.6倍に増えているので、 減ったのではなく、ほかがもっと増えた。
「その他」は21.2%から23.5%で、10年の動きは2.3ポイントしかない。 ここにアリーナ事業の収入が入るのは確かで、リーグもアルバルク東京と神戸ストークスを 「特に収入を伸ばしたクラブ」に挙げ、理由を「夢のアリーナ効果による増加」と書いている。 ただしそれは個別のクラブの事情であって、リーグ全体の伸びの説明ではない。最後の1季で3.9ポイント上がったのは、ほぼこの2クラブの分だ。
リーグは、この10年を自分で3つに割った
決算の発表資料は、この10年を自分で3つのフェーズに分けている。黎明期(〜2018)はバランスを保ちながら全体的に成長、 コロナ禍(〜2021)はスポンサーに支えられて事業を継続、 B.革新転機(2022〜)は事業成績とアリーナを審査基準にしたことで、 入場料収入や物販収入が大きく伸びた、という読み方だ。
構成比の図は、この区分をそのまま映している。 コロナの2季は入場料が13.5%まで落ち、 その穴をスポンサーが58.2%まで広がって埋めた。 抜けたあと、入場料は21.2%まで戻っている。戻したのであって、新しく作ったのではない。
そこに1つだけ、戻る以上のことが起きた項目がある。物販だ。 リーグは入場者1人あたりの入場料+物販を「入場者単価」として出していて、1,816円から4,467円へ2.5倍になった。 同じ期間に平均入場者数も1,985名から4,379名へ2.2倍。人が増えて、1人あたりも増えた。これは席を増やしただけでは起きない。
人件費は5.6倍。ただし直近の増分は、コートの外へ出た
入ってくる側が全部まとめて太ったのなら、出ていく側はどうか。こちらは、はっきり向きが変わっている。1クラブあたりのトップチーム人件費は、1.36億円から7.67億円へ5.6倍になった。営業収入の伸び(1クラブ平均で5.1倍)とほぼ同じ速さだ。 稼いだ分は、おおむねコートの上に返ってきた。
図6営業費用の構成比の推移(B1+B2、%)
人件費の帯が2021-22あたりで厚さの頂点を打ち、そこから薄くなっていること。 代わりに試合関連経費が戻していることを見てほしい。
- スクールやアリーナを別法人で運営しているクラブは、その分の人件費が入らない
- リーグの発表資料と一致する(人件費の構成比は2016-17が33.2%、2025-26が36.9%)
人件費の構成比は33.2%から上がり続け、2021-22の41.8%で頭を打った。 そこから36.8%まで下がっている。払う額は増え続けているのに、全体に占める割合は下がった。ほかの使い道が、それ以上に増えたということだ。
増えたのは試合関連経費のほうだった。コロナで16.1%まで削れたあと、19.2%まで戻している。 リーグはこれを「お客様の満足度向上を目的とした興行演出やホスピタリティ提供などの事業面への投資」と説明している。入場者単価が2.5倍になった背景には、この支出がある。強い選手を集めることと、来た人に使ってもらうことは、別々の投資になっている。
B.NEXT の決算が載るのは2024年度から
リーグが出しているクラブ決算概要は、10季分全部そろっている。 ただし載っている区分が季によって違う。 B3(いまの B.NEXT)の表が付いたのは2024年度からで、それ以前は B1 と B2 だけだ。 だから B.NEXT のクラブは、長い線を持てない。
各季の決算概要に載っているクラブ数
- 決算期がシーズンと一致しないクラブがある(A東京・東京SR・川崎・三河・FE名古屋・名古屋D・大阪・島根・長崎)。人件費と戦績の期間は厳密には揃っていない
- 人件費はトップチームぶんのみ。スクールやアリーナを別法人で運営しているクラブは、その分が入らない
- 物販収入と原価は、クラブごとに販売方法と会計処理が違うため単純比較できない(リーグの注記)
- 「その他」にはアリーナ事業などの収入が入る。リーグはこれを「夢のアリーナ効果による増加」として、伸びた要因に数えている
- 表示項目はリーグの統一様式で、クラブの決算書の勘定科目とは異なることがある。端数調整で合計が一致しない箇所がある(リーグの注記)
- B3(B.NEXT)の決算が載るのは2024年度から。それ以前の季は B1・B2 の36〜38クラブ分
- 決算の季の所属と、図3で分けた今季の所属は違う。10季のあいだに昇降格したクラブがある
次に見るなら、どこか
応援しているクラブが10季で何倍になったか、一度見てほしい。その倍率は、アリーナを建てたか、席を増やしたか、スポンサーを増やしたかの跡だ。クラブごとの推移は 財務データ、 直近の決算は 2025-26決算の記事 にある。
出典:B.LEAGUE 公式の経営情報開示(2016-17 〜 2025-26)。 直近は クラブ決算概要(2025-26)。