3Pは1.3倍打たれるようになった。入る確率は、むしろ下がった
得点の中身を10季ぶん割る。そして今季ここまで
- 011クラブ1試合あたりの3点試投は21.8本から28.5本へ1.31倍。試投に占める割合は34.1%から42.2%へ
- 02ところが3点の成功率は33.3%から31.9%へ下がった。今季は11季でいちばん低い
- 03代わりに2点の成功率が48.8%から53.9%へ上がった。こちらは11季でいちばん高い
- 041本あたりの期待値は3点0.957、2点1.078。⚠️ 単純に比べると2点のほうが得で、2018-19以降ずっとそうなっている
- 05⚠️ ただしこの比較は「3点を撃つからゴール下が空く」関係を無視している。2点の成功率が上がったこと自体が、3点を増やした結果かもしれない
- 06今季は得点83.8・攻撃回数77.9・フリースロー率29.8%がいずれも11季で最多。速く、ファウルが多く、3点が入っていない
3ポイントが増えた、という話は誰でも知っている。知られていないのは、入る確率のほうだ。
各季の開幕8試合で揃えて数えると、 3点の試投は1.31倍になった。そして成功率は33.3%から31.9%へ、下がっている。
3点は1.31倍打たれるようになった
まず本数から。1クラブの1試合あたり、3点の試投は21.8本から28.5本へ。2点は42.2本から39.1本に減っている。 試投全体に占める3点の割合は34.1%から42.2%になった。
図11クラブ1試合あたりの試投本数(各季の開幕8試合)
濃い線が3点、薄い線が2点。2本の線が近づいてきていることを見てほしい。
- ⚠️ 今季は消化が途中。季をまたいで比べるため、どの季も開幕8試合だけを取っている
- 延長戦があると試投が増える。試合合計で数えているので、その分は入る
ところが、入る確率は上がっていない
これだけ打つようになったのだから、上手くなったのだろう—— と思って成功率を見ると、そうなっていない。3点は33.3%から31.9%へ、1.4ポイント下がった。
上がったのは2点のほうだった。48.8%から53.9%へ、5.1ポイント。しかも今季の53.9%は11季でいちばん高い。
図2成功率の推移(%、各季の開幕8試合)
上の線が2点、下の線が3点。上は上がり、下は横ばいか下がっていることを見てほしい。
- ⚠️ 縦軸は28%から始まる。0からではないので、線の上下の差は実際の比より大きく見える
- ⚠️ 2点にはゴール下もミドルレンジも混ざっている。平均は、その中身の違いを消してしまう
1本あたりで比べると、2点のほうが得だった
成功率に点数を掛ければ、1本あたりに期待できる得点が出る。 今季は3点が0.957点、2点が1.078点。2点のほうが0.121点ぶん多い。
しかもこれは今季だけの話ではない。2018-19以降、ずっと2点のほうが上だ。その間ずっと、3点の本数は増え続けている。
図31本あたりに期待できる得点(各季の開幕8試合)
成功率 × 得点。線が上にあるほうが「1本撃ったときに取れる点が多い」。2018-19を境に2点が上になり、差が開いていることを見てほしい。
- ⚠️ フリースローを得る効果は入っていない。2点の試みのほうがファウルを誘いやすい
- ⚠️ オフェンスリバウンドの違いも入っていない。3点の外れはリバウンドが長く跳ねる
- ⚠️ そして最も大きいのは次の節で書く。この比較は「3点を撃つから2点が入る」関係を無視している
それでも3点が増えるのは、なぜか
⚠️ ここで「だから3点は損だ」と書くと、間違える。この比較には、決定的なものが抜けている。
2点の成功率が48.8%から53.9%へ上がったのは、 選手が急にシュートが上手くなったからではないだろう。3点を撃つ人がコートに広がれば、守る側も外へ出る。 すると、ゴール下が空く。2点の中身が、遠いミドルレンジから近いゴール下へ移った可能性が高い。
だとすると、話が逆になる。3点が2点を楽にしている。3点を減らせば2点の成功率も下がるので、 「2点のほうが期待値が高いから2点を増やそう」は成り立たない。
⚠️ これは確かめていない。 確かめるにはシュートの位置(ゴール下かミドルレンジか)のデータが要るが、リーグのボックススコアには位置が入っていない。ここから先は、こちらのデータでは追えない。
今季ここまで — 速く、ファウルが多く、3点が入らない
今季の8試合を、11季の中に置いてみる。3つが11季でいちばんになった。
- ⚠️ 8試合は短い。開幕直後は守備の仕上がりが遅く、得点も攻撃回数も高く出やすい
- ⚠️ 今季から外国籍の同時出場の制限が外れた。インサイドの人数が変わればファウルの数も変わるが、確かめていない
速くなり、ファウルが増え、3点は入っていない。 この3つが同時に起きているなら、攻めがゴールに近いところへ寄っていると読むのが自然だろう。 外国籍の出場時間が1試合8分増えた ことと、向きは合っている。
筆者の見立て — 3点は得点手段ではなく、場所を空ける道具
ここからは見立てになる。 10年のあいだ、3点の成功率は上がらなかったのに本数だけ増え続けた。これは「3点で点を取る」ためではなく、 「3点を撃つ構えを見せて、中を空ける」ためだと考えている。
だとすれば、3点の成功率を見て良し悪しを言うのは、半分しか見ていない。その季に2点の成功率がどうなったかと、セットで見る必要がある。今季の3点31.9%は11季で最低だが、2点は53.9%で最高だ。 この2つは、たぶん同じことの裏と表になる。
確かめられていないこと
- ⚠️ 今季は消化が途中。季をまたいで比べる図は、各季の開幕8試合だけで揃えている
- ⚠️ 1本あたりの期待値は、成功率×得点をそのまま掛けただけのもの。⚠️ 3Pを撃つからゴール下が空く、という関係は入っていない
- ⚠️ 2点試投には、ゴール下もミドルレンジも混ざっている。平均は中身の違いを消す
- ⚠️ B.PREMIER(旧B1)のリーグ戦のみ。延長戦は試合合計に含まれる
- ⚠️ 「3点が2点を楽にしている」は見立てで、確かめていない。確かめるにはシュートの位置が要るが、リーグのボックススコアには入っていない
- クラブ別に見ていない。リーグ平均は、3点を多投するクラブとそうでないクラブを混ぜている
- ルール・用具・コートの規格が10季で変わっていないかを確認していない
次に見るなら、どこか
次の試合、3点が外れたあとに何が起きるかを見てほしい。長いリバウンドを誰が取るか、そこから速攻に出られるか。 3点の価値は、入った本数だけでは測れない。
出典:本サイトの試合データベース(B.LEAGUE 公式のボックススコアから、2016-17〜2026-27のB1/B.PREMIERリーグ戦)。