Bプレミア初シーズン序盤戦の振り返り:試合が速くなった
今季のBリーグは、試合が速い。1試合1チームの攻撃回数が、B.PREMIERで73.9回から76.2回になった。40分という時間は変わっていないので、そのぶん攻守の切り替えが増えているということになる。 速攻が増え、ペイント内の得点が増え、ファウルも増えた。 ところが、消耗が増えたはずの出場時間は、分け合うのではなく主力へ寄っている。 最初の271試合で、コートの上に何が起きているかを追う。
- 0140分は変わらないのに、1試合1チームの攻撃回数が増えた。B.PREMIERは73.9回から76.2回で2.3回ぶん多く、5季でいちばん多い
- 02得点も増えた。B.PREMIERは81.3点から84.0点、B.ONEは79.3点から81.5点。攻める回数が増えたぶん、そのまま点が増えている
- 03B.ONEでは速攻からの得点が13.49点から14.45点へ、ペイント内の得点も34.81点から37.54点へ増えた
- 04守る側も忙しくなった。ファウルは19.6から20.5、フリースロー試投は17.6本から19.1本。今季はFIBAの新競技規則を先行適用している
- 05消耗が増えても、出場時間は分け合っていない。上位5人が占める時間は66.3%から68.3%へ、25分以上出た選手は3.10人から3.35人へ増えた
40分は変わらない。そのなかの攻撃が2.3回増えた
今季のB.PREMIERは、1試合1チームあたり76.2回攻めている。 前季は73.9回だった。2.3回ぶん多い。B.ONEも75.1回から76.8回へ増えた。どちらも5季でいちばん多い。
得点も増えている。B.PREMIERは81.3点から84.0点へ、B.ONEは79.3点から81.5点へ。 ここは素直に読める。攻める回数が増えたぶん、点が増えた。
図1前季から今季への変化率(B.PREMIER、%)— 1試合あたりと、100回の攻撃あたり
- 上の群は1試合1チームあたり、下の群は攻撃100回あたり。同じ指標を2つの数え方で並べている
- この図で言えないこと: 増減の理由。何がどれだけ動いたかは読めるが、なぜ動いたかは読めない
- 今季はまだ140試合(B.PREMIER)。前季の780試合と並べる土台の大きさが違う
上の群は、1試合あたりで数えたもの。どれも右へ出ている。 下の群は、それを攻撃100回あたりに直したもの。0の線のそばへ戻る。両方で右に残っているのは、フリースローだけだ。ここから先は、この形がどうしてできたのかを順に見ていく。
図2得点と攻撃回数 — B.PREMIER(前季までのB1と並べる)
| 季 | 1試合の得点 | 1試合の攻撃回数 |
|---|---|---|
| 2022-23 | 79.4 | 73.5 |
| 2023-24 | 79.0 | 73.5 |
| 2024-25 | 78.6 | 72.9 |
| 2025-26 | 81.3 | 73.9 |
| 2026-27 | 84.0 | 76.2 |
図3得点と攻撃回数 — B.ONE(前季までのB2・B3と並べる)
| 季 | 1試合の得点 | 1試合の攻撃回数 |
|---|---|---|
| 2022-23 | 79.5 | 76.0 |
| 2023-24 | 81.7 | 75.9 |
| 2024-25 | 78.5 | 75.3 |
| 2025-26 | 79.3 | 75.1 |
| 2026-27 | 81.5 | 76.8 |
- 攻撃回数は推定(試投+0.44×フリースロー試投−オフェンスリバウンド+ターンオーバー)
- 今季はまだ271試合。前季までは通季で、B.PREMIERは780試合、B.ONEは829試合ある
- この表で言えないこと: 1回の攻撃にかかった秒数。回数は数えられるが、時間そのものは別に測る必要がある
40分で2.3回多く攻めるということは、1回あたりの持ち時間が短くなっているか、同じ攻撃が何度もやり直されているか、その両方だ。 どちらなのかは、増えた2.3回の中身を開けると見えてくる。
増えた2.3回が、どこから来たか
攻撃回数は、シュートを打った数と、フリースローを得た数と、ボールを失った数から数える。 そこからオフェンスリバウンドを引く。拾い直した攻撃は、新しい攻撃とは数えないからだ。
図4攻撃回数の中身 — B.PREMIER(1試合1チームあたり)
| 季 | シュート試投 | FT試投 | ターンオーバー | オフェンスリバウンド |
|---|---|---|---|---|
| 2024-25 | 64.7 | 16.8 | 12.2 | 11.4 |
| 2025-26 | 65.4 | 17.6 | 12.6 | 11.9 |
| 2026-27 | 67.7 | 19.1 | 12.5 | 12.4 |
シュートの試投が65.4本から67.7本へ、2.3本増えた。 フリースローも17.6本から19.1本へ。ターンオーバーはほぼ変わっていない。 オフェンスリバウンドは11.9本から12.4本へ増えたが、これは攻撃回数を減らす側に効く。
つまり増えた2.3回は、拾い直しが増えたからではない。単純に、シュートまで行き着く回数が増えている。1回の攻撃が短くなった、と読むのが自然だ。
コートの上では、速攻とペイント内が増えた
攻撃が短くなるというのは、コートの上ではセットを組む前に攻め切る回数が増えるということだ。 公式の記録には速攻からの得点が入っているので、そこを見られる。
図5速攻からの得点と、ペイント内の得点(1試合1チームあたり)
| リーグ | 前季の速攻 | 今季の速攻 | 前季のペイント内 | 今季のペイント内 |
|---|---|---|---|---|
| B.PREMIER | 12.66 | 12.68 | 35.74 | 37.09 |
| B.ONE | 13.49 | 14.45 | 34.81 | 37.54 |
- (注)B.ONEの比較は前季のB2だけを使っている。前季までのB3はこの項目を記録していない(記録率4%)
- この表で言えないこと: 速攻をどう定義しているか。公式記録の区分をそのまま使っている
ペイント内の得点は、どちらのリーグでも増えた。 B.PREMIERは35.74点から37.09点、B.ONEは34.81点から37.54点へ。 ゴールの近くまで運ぶ回数が、はっきり増えている。
速攻のほうは分かれた。B.ONEは13.49点から14.45点へ増え、 B.PREMIERは12.66点から12.68点でほぼ動いていない。 B.PREMIERで増えた攻撃回数は、速攻が増えたからではないことになる。 (注)セットを組む前に攻めるやり方は、速攻の記録だけでは全部はつかまえられない。 走り切らずに早い段階で仕掛ける攻め方は、ここに入らないからだ。
守る側も忙しくなり、ファウルが増えた
攻撃が増えるということは、守る回数も同じだけ増えるということだ。 しかも相手はセットを組む前に来る。戻りながら守る場面が増える。
ファウルは、B.PREMIERで19.6から20.5へ、 B.ONEで19.8から20.6へ増えた。 フリースローの試投も17.6本から19.1本、18.0本から19.4本へ。 どちらも5季でいちばん多い。
フリースローが入る率そのものは、70%台前半でほとんど動いていない。 増えたのは打つ機会のほうだ。 ペイント内の得点が増えたことと並べると、 ゴール近くでの接触が増えている、と読める。
止めるためのファウルを、新しい規則が分けた
速い試合には、もう1つついてくるものがある。速攻を止めるためのファウルだ。 走られたら追いつけないとき、意図して止める。これは昔からある。
今季、B.LEAGUE は FIBAの新競技規則を先行適用している。 アンスポーツマンライクファウルがディスラプティブとフレグラントに分かれ、テクニカルファウルは2つの区分になった。 フレグラントは失格・退場の対象になり、ディスラプティブはそこまでは至らない。 どの場面でどちらになるかは、今季の競技規則の変更にまとめてある(リーグの告知)。
(注)この変更とファウルの増加につながりがあるかどうかは、ここでは確かめていない。 同じ季に起きている、というところまでだ。 ただ、流れを止める行為を細かく分けて扱う枠組みが、 試合が速くなっている季に入ったことは、並べて見ておきたい。
速くなったのに、出場時間はむしろ絞られた
ここまでの話からすると、次に起きそうなことがある。 走る量が増えれば消耗も増えるので、出場時間を分け合うようになるはずだ。 ベンチを厚く使い、1人あたりの時間を短くする。
測ってみたら、逆だった。
図6出場時間の分け合い方 — B.PREMIER(1試合1チームあたり)
| 季 | 上位5人が占める時間 | 25分以上出た選手 | 出場した選手 |
|---|---|---|---|
| 2022-23 | 68.9% | 3.39人 | 10.41人 |
| 2023-24 | 68.3% | 3.38人 | 10.47人 |
| 2024-25 | 67.8% | 3.31人 | 10.70人 |
| 2025-26 | 66.3% | 3.10人 | 10.79人 |
| 2026-27 | 68.3% | 3.35人 | 10.70人 |
- 出場時間が0の選手は数えていない
- この表で言えないこと: なぜ絞られたか。起用の意図は記録に残らない
上位5人が占める時間は、前季の66.3%から68.3%へ上がった。 25分以上出た選手は3.10人から3.35人へ。出場した選手の数も10.79人から10.70人へ減っている。試合は速くなり、出番はむしろ絞られた。
今季から、B.PREMIERは外国籍選手の同時出場の制限が無くなった (オンザコートフリーの初年度)。 出場時間に占める外国籍選手の割合は40.2%から42.9%へ上がっている。 一方で、コートに立った人数は1試合あたり3.33人から3.12人へ減った。 ここでも、起用は広がるのではなく絞られている。
(注)ここでいう外国籍は、公式の選手一覧で国籍が「海外」の選手を指す。 帰化した選手は日本人として数え、アジア特別枠の選手は外国籍に含めている。 登録の上限は外国籍3名と帰化・アジア特別枠1名で別々に決まっているので、 この数え方だと1チーム4人までコートに立つ。実際、今季のB.PREMIERでは 4人が出た試合がいちばん多い。どちらの枠で登録されたかは試合記録に残らないため、 ここでは分けられていない。
筆者の見立て — どこへ向かっているのか
今季のBリーグは、見ていて忙しい試合が増えたと考えている。 40分で2.3回多く攻め、ゴール近くまで運ぶ回数が増え、接触が増えた。 間が減って、切り替えが多い。会場で見ていれば、テンポが上がったと感じる種類の変化だ。
そのうえで、起用は逆を向いている。速い試合ほど人を回したくなるはずなのに、 時間は主力へ寄った。序盤の10試合前後という時期を考えると、組み合わせを探している段階で、まず軸になる選手に長く出てもらっている、 という読み方ができる。これは測っていない見立てで、季が進めば変わるかもしれない。
競技規則が変わった季でもある。速さと接触が増える方向に試合が動き、 流れを止める行為の扱いが細かくなった。この2つが同じ季に重なった。 (注)同じ流れの表と裏なのか、たまたま並んだだけなのかは、ここでは判断できない。
次に測りたいのは、1回の攻撃にかかる秒数だ。 試合記録には1つ1つのプレーに試合時計が入っているので、復元できる。 「速くなった」を、回数ではなく時間で言えるようになる。
確かめられていないこと
- 今季はまだ271試合で、各クラブ7〜12試合。前季までは通季の数字で、 B.PREMIERは780試合、B.ONEは829試合ある
- 1回の攻撃にかかる秒数は測っていない。攻撃の回数から読んでいる
- 怪我が増えたかどうかは比べられない。インジュアリーリストは2026年9月11日から 集め始めたので、前季の記録がこちらに無い
- 速攻とペイント内の得点は、B.ONEについては前季のB2だけと比べている。 前季までのB3はこの項目を記録していない
- 10月25日のベルテックス静岡×愛媛オレンジバイキングスの1試合は、 公式の記録がまだ出ていないため含めていない。B.NEXTはこの記事では扱っていない
- 規則の変更とファウルの増加につながりがあるかどうかは、確かめていない